登山用GPSの比較と選び方




山スキー(バックカントリースキー)をやるにおいて、積極的に使いたくない道具のひとつに雪崩ビーコンがあります。遭いたくもない雪崩遭難に備えての道具で、しかもこれがバカ高いのです。こんなものにお金をかけるなら、板やらビンディングやらウェアなど、積極的な道具に使いたいところです。とはいえ、雪崩ビーコンは雪山に入るのに、携行する義務があります。携行するだけでなく、しっかりと訓練し習熟する必要もあります。



雪崩ビーコン機種別紹介  機能比較表
 今シーズン(2013-14)新しく発売になった雪崩ビーコン
ピープスDSPプロ

ピープスDSPスポーツ

bca トラッカー3

◇雪崩ビーコンとは・・・?

雪崩ビーコンとは電波の受信・発信することがでる道具です。通常の行動時は発信状態で装着します。そして、もしビーコン装着者が雪崩に埋まった時、受信モードに切り替え、埋没者が発信している電波を辿りながら探し当てるというものです。

なので、ビーコンは1人だけ所持していても意味のないものです。パーティー全員が持ってこそ、はじめて意味のあるものになります。また、持っているだけではダメで、探し当てるのには習熟が必要です。繰り返し訓練することが重要なのです。

また、ビーコンだけ持っていてもダメで、最後にピンポイントで捜索するためのゾンデ棒(プローブ)、掘り出すためのスコップも必需品です。このビーコン、ゾンデ棒(プローブ)、スコップの3つを「雪山に入るための三種の神器」と呼ばれています。


ピープス
DSPツアー

掘り出したところまでいったとしても、セルフレスキューをマスターしていなければ、これまた困ったことになります。セルフレスキューとは簡単に言えば、プロのレスキューが来る前に、自分たちでできるレスキューのことです。応急処置と思っておいてもいいかな。定義はもっと深いですが・・・。

そして、何よりも重要なのが雪崩に遭わないこと。雪崩に遭わないために勉強することはたくさんあります。雪崩のメカニズムを勉強することで、ある程度防ぐことができます。知識としての勉強と、現地での弱層テストや周囲の観察などです。

とにもかくにも、雪山、とくに山スキー(バックカントリー)をするのなら、ある程度のレベルの学習をすることが、雪山に入るための義務といえます。


◇捜索方法

捜索方法を詳しく書くと、数ページにも及びますので、ここでは概略のみとします。捜索方法は本やネットで調べても、あまり深くは理解できません。実際に広い場所で試してみて、はじめて納得できると思います。

まずはビーコンの電波特性というものを理解しましょう。ビーコンの電波は楕円状に発信されていて、電波を強く受信する方向に埋没者がいるわけではありません。

1、初期捜索  まずは埋没者からの第1波を探します
2、絞り込み捜索  第1波を拾ったら、埋没場所を特定させます
3、埋没場所が特定できたら、ゾンデ棒でのピンポイント捜索に入ります
4、スコップ等で掘り出します
5、でき得る限りの応急処置をし、状況により今後を判断する


実際は様々なケースがありますので、ケースに応じた訓練を行います。また、二次遭難等に十分気を配る必要があります。

◇メーカーと機種別紹介  

ビーコンを出しているメーカーと機種は主に・・・

◆オルトボックス ................................ パトローラー d3 3+ S1 F1フォーカス S1+
◆ピープス .......................................... DSP フリーライド
◆バックカントリーアクセス............. トラッカー2 トラッカーDTS
◆アルバ .............................................. 3AXES エボリューション3
◆マムート
............................................ パルス・バリフォックス

◇ビーコンの分類

◆デジタルかアナログか

一応デジタルビーコンとアナログビーコンの2種類が存在します。はじめはアナログのみでしたが、今ではほとんどがデジタルになりました。なので、デジタルかアナログかについては触れる必要はないでしょうね。デジタル買っときましょう!

現在販売されているアナログ機種は、オルトボックスのF1フォーカスだけでしょうか。この機種がビーコンの普及に寄与したと言われています。アナログ使い込んでいるは、やはりアナログの捜索方法に習熟しているようで、その人たち向けにオルトボックスが残しているでしょうね。

◆アンテナの本数

シングルアンテナ、ダブルアンテナ、トリプルアンテナがあります。シングルは主にアナログの機種です。ダブルとトリプルの違いは、ピンポイント捜索になった時の的確性です。近くまではどのビーコンでも行けるけど、最後の最後は狭いほど掘り出しの時間が短縮できます。

デジタルアンテナはアナログに比べて受信感度が低いとされています。遠くにある時は自動でアナログになる機種もあります。理にかなっていますね。

ビーコン機種別比較

主な機能を一覧表にしてみました。比較するのに便利かと思います。

 ☆パトローラー
 ☆S1プラス
 3+
 ☆ZOOM+
 
 ☆ピープス DSP
 ☆ピープスDSPツアー
 ☆ピープス フリーライド
 
 ☆トラッカー2
 ☆トラッカー DTS
 
 ☆アクシス
 ☆3AXES
 ☆LINK
 
 ☆バリーボックス
 ☆エレメント バリーボックス
 



 
雪崩ビーコンはメーカーや販売店、雪崩学者、雪崩マニアの策略によって普及しているのでは・・・?と時々勘ぐってしまいます。三種の神器と呼ばれるくらいに、意味のあるものなのでしょうか?まず「雪崩に遭わない」という大前提があります。雪崩に遭わなければ、ビーコンやゾンデなるものは全く必要ないわけです。絶対に雪崩に遭わない自信があれば、ビーコンは買わなくてもよいわけです。

ところが、万が一雪崩に遭ってしまったら・・・。一部でも表面に出ていたらいいのですが、手掛かりがない場合はお手上げ状態です。ビーコンがなければ、ゾンデがなければ、スコップがなければ、なす術がないのです。

ビーコンは万が一のために装備として持ちます。そして、万が一のために訓練します。一秒でも早く発見できるように、繰り返し訓練します。訓練していないと、絶対に実際の現場では使えないと思います。そんな煮え切らない道具が雪崩ビーコンなのです。
 
雪崩ビーコン機種別紹介  機能比較表